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Message/メッセージ:「走り続けるということ~実業団駅伝の開催準備に際して~」  (2021.10.04)

実業団駅伝の開催準備に際して メッセージ

2021年10月4日
一般社団法人日本実業団陸上競技連合

走り続けるということ

東京オリンピックの男子マラソンで、元ソマリア難民の選手が銀メダルと銅メダルを獲得しました。ともに幼年時、内戦下の祖国を離れ、それぞれオランダ、ベルギーに移った2人は、走ることと出合い、その後も走り続けることをあきらめなかった結果、表彰台に並んで立つことができました。
昨年来、新型コロナウイルスの影響で、市民ランナーも含め、多くのランナーたちが日々の暮らしのなかで走り続けることの困難に直面しました。そのようななかでも、感染症対策を施すことで、少しずつではありますが、再び走り始めることができはじめています。それでも、数百人から数千人、数万人規模のマラソン大会は、いまだに中止や延期の判断を余儀なくされています。

昨年度、わたくしたちが主催する実業団の駅伝3大会は、開催地の皆さまや関係する多くの方たちのご理解とご支援のもと、開催させていただきました。大会にかかわったすべての方たちのご尽力をもちまして、大会から感染者を出すことなく、3大会を終えることができました。改めて感謝申し上げます。
実業団の駅伝大会は、女子が30チーム前後、男子は約40チームが参加して行われます。限られたチーム数のなかで、感染症対策を施し、参加企業の沿道での応援自粛など、まず少人数の参加者たちによるロードレースを実施するうえで、さまざまな課題解消に取り組むための足掛かりとなる大会に位置付けることができます。

コロナ前と同じ日常に戻ることは難しいなか、どうすれば、タスキをつなぎ続けることができるか。コロナが一度は分断したとも言われる、スポーツと市民生活の間に、より良い関係を改めて作り直していくプロセスのなかで、実業団駅伝の取り組みが、そのひとつのきっかけになることを目指しています。これまでは、関心がとかく勝つことに傾きがちでしたが、本当に大切なのは、実業団駅伝がもたらすさまざまな気づきを、これからの社会にポジティブな変化としてつなげていくことではないかと考えます。

駅伝のタスキが示す相互理解や相互信頼を土台にして、駅伝競技、スポーツを市民生活に欠かせないものとして再び受け入れていただくために、わたくしたちは、走り続けるなかで、地域の皆さまや駅伝、スポーツファンの方たちとともに考え続けたいと願っています。市民生活にとって、スポーツは、どこか遠くの離れたところにあるものではなく、同じ生活空間にあるものと確信しています。

新型コロナウイルス感染症の状況しだいでは、中止を判断することもあります。慎重に事態を見極めながら、準備を進めさせていただきます。

改めて、大会へのご理解とご支援をお願いするしだいです。

「走り続けるということ~実業団駅伝の開催準備に際して~」 

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